金魚は人の顔を覚える？名前を呼んだら寄ってくるって本当？

金魚に餌をやろうとしたら嬉しそうに寄ってくる、といった経験をしたことはありませんか？

たしかに、水槽の前に立つと寄ってくる金魚は少なくありません。また、名前を呼んだら寄ってきた、という意見もあります。このことから、金魚は「人の顔を覚え、自分の名前を理解している」と、喜ぶ人もいますが本当のところはどうでしょうか。

金魚は人の顔を覚える

「金魚は人の顔を覚えることができる」といわれています。

具体的にはどのようなポイントを見分けているのでしょうか？

形や色を見分ける

金魚は形や色を見分けることができます。

あまり細かい図形や色を識別できるわけではありませんが、大まかなものであれば見分けることができる、という研究結果があります。そう考えると、人の顔を覚えられても不思議ではありません。

また、金魚には学習能力があるのも要因の一つです。ただし、どのぐらいの期間覚えていられるかは、よくわかっていません。

実は餌をやる動作を覚えている？

水槽に近付くと寄ってくる金魚は珍しくありません。

しかし、これは顔を認識していて飼い主にだけ寄ってくる、というわけではなく餌やりの“動作”を覚えているケースが多いです。「餌を持って近付き水槽の上部から入れる」この一連の動作を覚えることにより、人が近付いたら餌がもらえると学習します。

試しにアクアリウムショップの水槽の上部で指をちらつかせると、金魚が寄ってくるはずです。そのため、“特定の人を見分けている”というよりも動作を覚えていることの方が多いといえます。

名前を呼んだら寄ってくる？

「名前を呼んだら寄ってきた」という意見もありますが、正直なところ定かではないと言わざるを得ません。

というのも、音は空気中から水中には非常に伝わりにくいので、声が金魚まで届いている可能性は低いです。プールで水中にいるときに水上の音が聞こえにくい場面を想像していただけたらわかりやすいのではないでしょうか。ただでさえ聞こえにくい環境に加えて、水中にはエアレーションやフィルターのモーター音が響いています。そのような状態で音を聞き分けるのは容易ではありません。

考えられるのは名前を呼ぶときの動作に反応している可能性があります。名前を呼ぶときに水槽に近づいたり手を振ったりしていませんか？その動きに反応して寄ってきている可能性が高いです。

しかし、「金魚には音を聞き分ける能力がある」とする研究結果もあるので、可能性はゼロではありません。大きな声で名前を呼び餌を与える。これを繰り返すと、名前に反応して寄ってくるようになる可能性があります。

学習能力や認識能力には個体差が大きい

金魚も生き物なので、個体によって学習能力や認識能力に違いがあります。

顔を覚えたり音を聞き分けたりなどする個体もいれば、まったくそうではないものもいます。そのため、顔を覚えてもらおうとしても、まったく反応が得られないことも珍しくありません。

必要以上に顔を近付けたりしてストレスになってもいけないので、無理強いはしないようにしましょう。

熱帯魚には人を見分けるものがいる

金魚ではありませんが、熱帯魚のなかには人を見分けるものがいます。

飼い主以外が餌を持って近付いても隠れているのに、飼い主が近寄ると隠れ家から出てくる光景を目にしたことがあります。また、テッポウウオを使った研究では人の顔を高確率で見分けている、という研究結果も。

そう考えると同じ魚である金魚が人の顔を見分けていても不思議ではありません。